Alexaで部屋を判定する3つの方法|Echo2台で試した精度と民泊での注意点

話しかけた部屋の家電だけを動かしたいなら、部屋ごとにEchoと家電を同じ「スマートホームグループ」に入れる公式の設定で足ります。話しかけなくても人がいる部屋を知りたいなら、超音波の在室検知に対応したEchoの定型アクションを使います。音声履歴を読む非公式の連携は、部屋ごとのログまで取れますが、運用が重く、ゲストの声が録音として残るため、民泊や貸別荘の客室には勧めません。以下、3つの方法の違いと選び方、私たちが1LDKで試した結果を順に書きます。

「部屋判定」でやりたいことは2種類ある

Alexaで「部屋を判定したい」と言うとき、やりたいことは次の2つのどちらかです。

  • 話しかけた部屋の家電を動かしたい: 「アレクサ、電気つけて」で、隣の部屋ではなく今いる部屋の照明をつけたい
  • 話しかけなくても、人がいる部屋を知りたい: 入室したら自動で点灯する、誰もいなくなったら消す

前者は「声を聞いたEchoがどの部屋のものか」の問題で、後者は「人の気配」の問題です。解く仕組みが違うので、先に目的を決めてから方法を選びます。

やりたいこと 選ぶ方法
話しかけた部屋の照明だけを動かす 方法1 スマートホームグループ
入室したら自動点灯、不在で消灯 方法2 超音波の在室検知
部屋ごとの利用ログを取りたい 方法3 非公式連携(自宅のみ)

方法1 スマートホームグループ(公式・設定だけ)

いちばん手軽で、多くの人はこれで足ります。Echo端末をスマートホームグループに入れると、そのグループ内の機器をAlexaで操作できます。たとえば「居間」グループに入っているEchoに「ライトをつけて」と言えば、同じグループのライトが点灯します。部屋ごとにグループを作り、その部屋のEchoと照明を入れておけば、「電気つけて」で動くのはその部屋の照明だけになります。

注意点は、Echo端末は一度に1つのグループにしか入れられないことです。1台のEchoで2部屋を担当させることはできないので、「1部屋に1台」が前提になります。

作成手順はAmazonのヘルプに沿えば、Alexaアプリだけで完了します。

2台同時に聞き取ったらどちらが応答するか — 1LDKで8回試した結果

グループ方式が正しく動くかは、「声を聞いたのがどのEchoか」で決まります。壁の薄い間取りでは、1回の「アレクサ」を2台が同時に聞き取ることがあります。Alexaには、このとき近い方の1台を選んで応答させる仕組みがあります。

私たちは1LDK(リビングと和室)にEcho Dot 第5世代とEcho Popを1台ずつ置き、この仕組みが実際に働くかを確かめました。応答したEchoの記録は方法3の非公式連携で読み取っています。

方式 正しい部屋になった回数 隣室のEchoが拾った誤判定 発話から検知までの遅れ
声で判定(応答したEchoを読む) 8/8(両部屋で交互に4回ずつ) 0/8 0.6〜3.1秒(平均2.1秒)
超音波の在室検知 未測定 未測定 未測定

8回すべてで、話しかけた部屋のEchoが選ばれました。少なくともこの間取りでは「近い方が応答する」仕組みが機能しており、グループ方式で部屋を分けても問題ありません。ただし、部屋の境目やドア付近で話したケースは試していません。そこでの挙動は保証できないので、置き場所で避けるのが確実です。

置き場所のチェックリスト

  • 1部屋に1台だけ置く
  • 部屋の境目やドア付近には置かない(2台の距離が近くなり、どちらが選ばれるか分かりにくくなる)
  • Echoは1グループまで。部屋とグループを1対1にする
  • 家電の名前に部屋名を付ける(例: 「和室の照明」)。グループ外から操作するときも迷わない

参考: スマートホームグループとは(Amazon)、スマートホームグループを作成し複数のデバイスを管理する方法(Amazon)

方法2 超音波の在室検知(公式・声なし)

声を使わずに人の気配で部屋を判定する方法です。在室感知の定型アクションは2022年1月に提供が始まりました。

Alexaが人の存在を認識する信号には、超音波モーションセンサー、コンピュータービジョン、画面タッチ、音声対話などがあります。信号が約7分間ないと不在と判断されます。在室検知の処理はデバイス上で行われ、音声はクラウドに送られません。この点が、客室で使いやすい理由です。

対応機種には注意が必要です。私たちが試した2台では、Echo Dot 第5世代は超音波の在室検知に対応しており、Echo Popは非対応でした。これから購入する場合は、Amazonの製品ページで対応を確認してください。

設定手順(Alexaアプリ)

  1. デバイス > 対象のEcho > 設定 > 「モーション検知」をオンにする
  2. 定型アクション > + > 実行条件「スマートホーム」> 対象のEcho > 「人が検知されたとき」を選び、アクション(照明をつける など)を設定する
  3. 同様に「不在になったとき」を実行条件にして、照明を消すなどのアクションを設定する

動作確認には、アクションを「Alexaのスピーチ」にして「和室に人がいます」と喋らせると、反応のタイミングが耳で分かります。

1台で2部屋を判定する考え方

1LDKのように部屋が2つなら、対応機種は1台で足ります。対応機を置いた部屋で「在室」なら、その部屋にいる。「不在」なら、もう一方の部屋にいるか外出中です。この2つは玄関の開閉センサーで区別します。玄関が開いていなければもう一方の部屋、開いた後に不在が続けば外出、と見なせます。

参考: Alexaの人検知による定型アクションの仕組み(Amazon)

方法3 音声履歴を読む非公式連携(上級者向け)

「アレクサ」と話しかけたEchoがどれかを、Amazonの音声履歴から読み取る方法です。Home Assistantの拡張「Alexa Media Player」などが使えます。部屋ごとにいつ話しかけたかのログが取れ、上の実測のとおり判定の精度も十分でした。

ただし、条件とリスクがはっきりあります。

条件: 音声の記録を保存する設定が必須
Alexaアプリ > その他 > 設定 > Alexaプライバシー > 「音声履歴の管理」で、音声の記録を保存する設定にしておかないと履歴が空になり、判定できません。

遅れ: 0.6〜3.1秒(平均2.1秒)
私たちの計測では、3秒ごとに履歴を確認する作りでこの遅れでした。「照明をつける」には十分ですが、人の出入りを秒単位で追う用途には向きません。

リスク: 止まる・弾かれる・切れる
– Alexa Media Player は「非公式のAlexa API」を使っており、Amazonがいつでもアクセスを止める可能性があると開発者自身が明記しています
– 私たちの環境では、amazon.co.jp のアカウントで連携ツールからのログインがボット判定(「ご確認ください」の画面)とパスキーのエラーで通りませんでした
– ログイン情報(Cookie)は数週間で切れるため、定期的にログインし直す作業が必ず発生します

自宅で仕組みを楽しめる人向けの方法です。止まっても困らない用途に限って使ってください。

民泊・貸別荘の客室ではどれを選ぶか

客室では、方法1のグループと方法2の在室検知を組み合わせることを勧めます。方法3を避ける理由は運用の重さだけではありません。音声の記録を保存する設定が前提なので、ゲストの声がオーナーのAmazonアカウントに録音として残ります。ゲストに説明して同意を取る手間を考えても、客室で選ぶ方法ではありません。

3つの方法の比較

項目 方法1 グループ 方法2 在室検知 方法3 非公式連携
公式か 公式 公式 非公式
必要な機材 各部屋にEcho1台+Alexa対応家電 在室検知に対応したEcho(Dot 第5世代など) Echo+連携ソフトを動かし続ける機器
声が必要か 必要 不要 必要
録音の保存が必要か 不要 不要 必要
遅れの目安 計測対象外 不在判定は約7分 0.6〜3.1秒
設定の手間 Alexaアプリだけ Alexaアプリだけ 大きい(再ログインも定期的に発生)
止まるリスク 公式機能 公式機能 Amazonの判断で止まり得る
民泊の客室 使える 使える(事前テスト前提) 勧めない

客室に置く前のチェックリスト

  • 音声録音の保存設定: 「音声録音を保存しない」にする。有効になるまで最大36時間かかるので、ゲストを迎える前日より前に済ませる。既存の録音と音声IDは削除される
  • 在室検知の感度テスト: ソファやベッドでじっと座っているときに不在扱いにならないか、実際の部屋で試す
  • 窓の外の動き: 窓際に置く場合、外の人や車の動きで反応しないか確かめる
  • 定型アクションの内容: 「不在になったら消灯」は、在室中に誤って不在と判定されると照明が消える。不在時の動作は消灯や空調停止など、戻しやすいものにとどめる
  • チェックアウト後の確認: Alexaアプリの音声履歴を開き、残っている録音がないか確認し、あれば削除する

参考: Alexa音声録音を自動的に削除する(Amazon)、Alexaの録音された音声履歴を管理する方法(Amazon)

ご相談について

NNiNNでは、1LDKでEcho2台を使って試した結果をもとに、Echoの置き場所やグループの組み方、在室検知の定型アクションの設計をお手伝いしています。宿泊施設や住まいでのスマートホーム導入を検討されている方は、スマートホーム導入のページをご覧のうえ、お問い合わせからお気軽にご相談ください。